食材宅配を始めたいけれど、きちんと放射能対策がされているところはないの?とお探しではありませんか。
そこで今回は大手サービスの自主検査の方法に加えて自分でもできる食事での放射能対策もご紹介。
妊娠中の方や小さい子供がいるママにぜひ知ってほしい情報をお届けします。
目次
放射能は何が怖い?汚染食品が体に与える影響
東日本大震災以降、食の安全性に放射能対策、という大きな項目が加わり、食品を選ぶのに不安な思いをしてきた人も多いと思います。
では具体的に放射能はなぜ怖いのでしょうか。
それは、放射能が細胞の中の染色体を傷つけ、破壊したりおかしな状態に変えたりしてしまうからです。
染色体が少し傷つけられただけなら体が元々持っている修復作用で問題なく直すことができます。
ただ、ダメージが大きくなるとその異常を治せずに、それががんや白血病、突然変異の原因となることがあります。
また、大人と子供では子供の方がその影響を受けやすいことがわかっています。
そして、やっかいなのが放射能汚染された食品といっても見た目にはわからず無味無臭なところです。
国の現在の放射能検査基準
食材宅配サービスが行っている放射能対策をご紹介する前に、まずは国の現在の食品に関する放射性物質の対策についてまとめます。
これは、普通のスーパーでも、食材宅配サービスであっても、原則政府の基準をクリアしたものが市場に出回ってくるからです。
放射性物質の基準値
今問題になっているセシウムというのは原子力発電所で発電させた時にできる核廃棄物の一つで東日本大震災での事故で多く流出したと言われています。
そのセシウムが環境を汚染していると言われており、私たちの体の中にも食べ物飲み物を通して入って来る(=内部被ばく)可能性があります。
そこで2012年に政府は放射性セシウムの基準値を以下のように定めました。
食品カテゴリ | 基準値(ベクレル/kg) |
飲料水 | 10 |
乳児用食品 | 50 |
牛乳 | 50 |
一般食品 | 100 |
これは、食品から受ける放射線量の年間1ミリシーベルト※という上限値(であれば安全といえる)を元に、それぞれの食品を1年間食べ続けた場合に問題がない放射線量が計算されたものです。
また、放射性物質はセシウム以外にもあり、測定が難しい種類についても合計して1ミリシーベルトを超えないように考慮された値になっています。
※…食品の国際規格を策定しているコーデックス委員会が指標としている値
この基準値を元に、全国17の都県※の自治体で検査が行われています。
※17都県…福島県、宮城県、茨城県、栃木県、群馬県、千葉県、青森県、岩手県、秋田県、山形県、埼玉県、東京都、神奈川県、新潟県、山梨県、長野県と静岡県
放射性物質の検査方法
現在では平成30年に改訂されたガイドラインに基づいて検査が行われています。
それによると検査の対象品目は以下のようになっています。
- 放射性セシウムの検出レベルの高い食品(野生きのこ・山菜類、野生鳥獣肉等)
- 飼養管理の影響を大きく受ける食品(乳、牛肉)
- 生産資材への影響の状況から、検査が必要な食品(原木きのこ類)
- 水産物
- 出荷制限の解除後の品目 等
また、検査は
①ゲルマニウム半導体検出器を用いた核種分析法
②NaIシンチレーションスペクトロメータ等を用いた放射性セシウムスクリーニング法
の2つが組み合わせて行われ、精密な検査(①)と、短時間でできる検査(②)を組み合わせて効率的にできるように工夫されています。
検査の結果、基準値を上回った場合には出荷制限や摂取制限がとられ、市場に出回ることのないよう措置が取られます。
2011年から現在までの検査結果は厚生労働省のサイトで誰でも確認することができます。
月別検査結果(厚生労働省HP)
※国の現在の検査基準について、ここまでの話は以下の資料を引用させていただきました。
食品中の放射性物質の対策と現状について(厚生労働省HP)
食材宅配サービス大手9社の放射能対策
ここまでで、政府も明確な基準に基づいて検査や対策をしていることはお分かりいただけたと思います。
ただ、家族のことを思うと避けられるリスクは少しでも避けたいと思ってしまいますよね。
そこで、食材宅配サービスでは利用者が安心できるように、自主検査を行っていることが多いです。
各社考え方が様々で一概に比較することは難しいのですが、各社の方法を
- 検査対象
- 検査方法
- 検査基準値
の観点でご紹介します。
食材宅配サービス9社を検査対象で比較
まず、主な食材宅配サービス9社を検査の対象にしている品目で比較します。
サービス会社 | 検査対象 |
オイシックス | 自社センターから出荷する青果物・乳製品・卵・鮮魚・精肉の全アイテム |
コープデリ | 政府の定める17都県が産地のものについて、飲料水・牛乳・たまご・茶・乳児用食品・米、新商品、過去に検出のあった品目(に重点が置かれる) |
パルシステム | 農畜産物とその加工品は北海道を除く東日本産(新潟・長野・静岡以東の本州産)、水産物とその加工品は日本沿岸・近海・北太平洋の一部と、国内の淡水産水産物 |
大地を守る会(大地宅配) | 17都県は全産地全品目。ベビー用食品や飲料水は地域を限定せずに対象(定期的に測定) |
らでぃっしゅぼーや | 17都県の全産地全品目 |
生活クラブ | 定義の明記はないものの、2019年9月までに118,997件の検査 |
秋川牧園 | 自社の生産物、飼料を定期的に行い、その他は放射能リスクによる優先順位を決めて実施。 |
ヨシケイ | -(自主検査を行っていない) |
わんまいる | -(自主検査を行っていない) |
食材宅配サービス9社を検査方法と検査基準値で比較
次に検査方法と基準値の厳しさで比較します。
サービス会社 | 検査方法※ | 検査基準値 |
オイシックス | シンチレーション式 | 政府基準値と同じ |
コープデリ | シンチレーション式 + ゲルマニウム半導体検出器 | 政府基準の1/20~1/10と厳しい |
パルシステム | ゲルマニウム半導体検出器 | 政府基準の1/10~1/4と厳しい(しいたけ100Bqは例外) |
大地を守る会(大地宅配) | シンチレーション式 + ゲルマニウム半導体検出器 | 政府基準の約1/20~1/2程度と厳しい |
らでぃっしゅぼーや | ゲルマニウム半導体検出器 | 不検出(1~3Bq/kg以下)または1/20~1/2と厳しい |
生活クラブ | シンチレーション式 + ゲルマニウム半導体検出器 | 不検出(1Bq/kg以下)または1/10~1/2と厳しい |
秋川牧園 | シンチレーション式 + 外部検査機関でゲルマニウム半導体検出器 | 不検出(1Bq/kg以下または5Bq/kg以下)と厳しい |
ヨシケイ | -(自主検査を行っていない) | – |
わんまいる | -(自主検査を行っていない) | – |
※検査方法は短時間で効率的に検査が行えるシンチレーション式と、より高精度の検査が行えるゲルマニウム半導体検出器に大別して表記。
各社の放射能検査や基準値の特徴
それでは次に各社の放射能検査の特徴についてご紹介します。
特に安心できるポイントについてまとめました。
オイシックスの放射能検査や基準値の特徴
今回紹介する9社のうち、自主検査を行う会社では唯一政府基準値を採用している点は他の食材配達サービスに劣ります。
しかし、独自の取り組みとして放射能不検出(5~10Bq/kg)の「グリーンチェック」商品があります。
これは、「ゲルマニウム半導体検出器」を導入して放射性ヨウ素及び放射性セシウムが「不検出」であることを確認した商品に付けられる名称で、現在対象品目は1,200もあります。
コープデリの放射能検査や基準値の特徴
基準値は政府基準の1/20~1/10と大変厳しく、子供用カタログ掲載商品は検出限界5Bq/kgの検査が行われている点が安心です。
パルシステムの放射能検査や基準値の特徴
検査方法がゲルマニウム半導体検出器2台体制で厳格なものとなっています。
基準値はしいたけ100Bq/kgなどの例外はあるものの、おおむね政府基準の1/10~1/4という厳しさで行っています。
大地を守る会の放射能検査や基準値の特徴
「放射能不検出の食材」カテゴリがあり、毎週1,000商品以上の不検出食材が購入できます。
北海道と甲信越、愛知以西の産地限定の「子どもたちへの安心野菜セット」という商品もあります。
さらに第三者機関でも検査を実施している点が安心です。
らでぃっしゅぼーやの放射能検査や基準値の特徴
検査方法がゲルマニウム半導体検出器で厳格に行われている点と、
卵、牛乳、飲料水、乳児用品については不検出(1~3Bq/kg以下)という大変厳しい自主規制基準である点が安心です。
生活クラブの放射能検査や基準値の特徴
子供用カタログの商品は直近半年以内の検査で不検出(検査下限値1Bq/kg以下)のもののみ、という点が安心です。
放射能検査結果のデータベースが使い易く、生産者や産地まで個別に見ることができます。
秋川牧園の放射能検査や基準値の特徴
山口県に位置し、主要な食材は秋川牧園の農場もしくは西日本の契約農場で取れたものを提供しているところは他にないメリットです。
自社で家畜を生産しているだけあって、飼料原料まで放射能検査を行っている点が安心です。
外部検査機関でも検査が行われている点も安心できます。
ヨシケイの放射能検査や基準値の特徴
ヨシケイでは放射能の自主検査は行っていません。
そもそも、現在流通しているものはすべて国の基準をクリアしたもののみ、という考え方に基づいているようです。
ただ、毎日食材と共に届けられる食材リストに産地の明記が細かくある点は安心できると言えます。
わんまいるの放射能検査や基準値の特徴
わんまいるもヨシケイ同様、放射能の自主検査は行っていません。
わんまいるは冷凍惣菜(宅配食)に特化した会社です。
食材宅配サービスの会社を何十社もリサーチしていますが、
食材単体 < ミールキット < 宅配食
とその会社がメインで扱う物の加工度がアップするにつれて、会社が掲げる食の安全性の基準は低くなりがちな傾向はあります。
ただ、わんまいるの場合は魚や肉などのメイン食材に特にこだわっているため、肉魚に関しては「石巻産」「紀州産」など産地の表記があることが多いです。
放射能対策でおすすめの食材宅配サービス会社
いかがだったでしょうか。
食材単体を全般的に扱っている会社はかなり国より厳しく自主検査を行っていることがわかってもらえたと思います。
放射能不検出のカテゴリがあって商品が選びやすいのはオイシックスや大地を守る会なので、特に小さな子供がいて不検出の食材ばかりを安心して選びたい、という方にはおすすめです。
また、基準値の厳しさでいうとコープデリ、パルシステム、らでぃっしゅぼーや、生活クラブ、秋川牧園もかなり厳しいことは確かです。
さらに、「全部チェックしてほしい」という方には、特に汚染の可能性がある17都県産のものについては全品目検査している大地を守る会、らでぃっしゅぼーやはおすすめできます。
内部被ばくを防ぐ方法
最後に、念には念を入れたいという方に、食事での内部被ばくを自分でも極力防ぐ方法について5点ご紹介します。
自分でも今日からできる対策ばかりです。
洗う
放射性物質のうちセシウムやストロンチウムは水に溶けやすい性質です。
そのため、野菜などの表面についた放射性物質はよく洗うことでかなり落とすことができます。
魚介類の場合は洗う際に食塩を加えることで放射性物質を落とす効果が高まります。
皮をむく
「洗う」方法と同様、皮をむくことで表面のあらゆる放射性物質を減らすことができます。
ゆでる
野菜や肉魚などの食品をたっぷりの湯でゆでると放射性物質を減らす効果が期待できます。
芯や骨、内蔵を食べない
土が汚染されている場合、果物の芯や種の部分に放射性物質が集中しやすいと言われています。
肉や魚の場合は比較的放射性物質が集まりやすいのは骨や内臓です。
汚染されやすい部分を取り除いて調理すれば放射能対策になります。
ヨウ素・カリウム・カルシウムを摂る
放射性物質を体内に取り込むことを防ぐにはヨウ素、カリウム、カルシウムといった栄養を摂ることが重要です。
これは放射性物質のヨウ素131やセシウム、ストロンチウムと性質が似ているもの(ヨウ素、カリウム、カルシウム)を体に満たしておけば、放射性物質が口から入っても取り込まれにくくなる、という原理です。
ヨウ素やカリウムを多量に含む昆布、ヨウ素、カリウム、カルシウム豊富な味噌などの食材が有効です。
食材宅配の放射能対策の実態 まとめ
いかがだったでしょうか。
政府の現在の食品の放射能検査方法と各食品宅配サービスが行う自主検査の方法についてご紹介してきました。
放射性物質が目には見えないものであるがゆえ、専門家ではない私たちが食品を選ぶ際には今後も「絶対に安心」と思うことは難しいとは思います。
それでも、避けられるリスクであれば少しでも避けたい、と思うのも当然のことです。
大切な家族を守るために、自分が納得できる対策を行っている食材宅配サービスを選びたいですね。
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